「いつか自分の店を持ちたい」——そう思いながら脱サラを決意した人が、開業から1年も経たずに閉店してしまう。飲食業界では珍しくない話です。
飲食店の3年以内廃業率は、業界全体で約60〜70%ともいわれています。恐ろしい数字ですが、その大半は「料理の腕が足りなかった」ではなく、「事前の準備・判断軸が整っていなかった」が原因です。逆にいえば、失敗パターンを事前に知っておけば、廃業リスクは大幅に下げられます。
この記事では、びあらばが飲食業界で蓄積してきた知見をもとに、開業して失敗する人が共通してやってしまう7つのミスを解説します。
この記事でわかること
- 飲食店開業で失敗する人に共通する7つのパターン
- 各ミスを防ぐための具体的なチェックポイント
- 開業前に「小さく試す」テスト出店という選択肢
飲食店の廃業率——まず現実を直視しよう
日本政策金融公庫の調査によると、飲食業の開業後1年以内の廃業率は約20〜30%、3年以内では約60%に達するとされています。10人が開業すれば、3年後には6人が店を畳んでいる計算です。
ただし、これは「才能がある人だけが生き残れる」という話ではありません。失敗した経営者の多くは、料理は美味しく、接客も悪くない。問題は「経営の仕組みをつくれなかった」ことにあります。
数字で判断できる体制さえ整えれば、廃業リスクは格段に下がります。では、具体的にどのミスが命取りになるのか、7つに絞って解説します。
失敗する人がやりがちな7つのミス
ミス①:損益分岐点を計算せずに物件を決める
「この物件、雰囲気がいい」「駅から近くて気に入った」——感覚だけで物件を契約するのは最も危険なミスです。
飲食店の損益分岐点は「固定費 ÷ 粗利率」で求められます。たとえば月の固定費が50万円・粗利率60%なら、損益分岐点の売上は約83万円。1日平均何人・何円使ってもらえば達成できるか、物件を見る前に計算する必要があります。
チェックポイント:「月商いくらあれば黒字になるか」を数字で言えるか?
ミス②:競合・エリア調査を怠る
同じエリアに同業態が3〜4軒ある場所に出店して、価格競争に巻き込まれた——よくある失敗パターンです。
Googleマップを開いて候補エリアを検索するだけで、競合の密度・客単価・営業時間がある程度わかります。さらに実際に足を運んで客層・混雑時間帯を確認することが大切です。エリアに「需要の空き」があるかを見極めてから出店しましょう。
チェックポイント:半径500m以内の競合店と、自店の差別化ポイントを3つ言えるか?
ミス③:初期費用に「運転資金」を含めない
内装工事・設備費・保証金などの開業費用だけを計算して、「これで足りる」と思い込む人が多いです。しかし開業直後の数ヶ月は売上が安定せず、固定費だけが出ていく時期が必ず来ます。
目安として月次固定費×3〜6ヶ月分の運転資金を別途確保することが必要です。家賃20万・人件費40万・その他10万の店なら、最低でも210〜420万円が手元に残っている状態で開業すべきです。
チェックポイント:売上ゼロが3ヶ月続いても生き残れる手元資金があるか?
ミス④:物件の「居心地」で決める
「なんか好き」という感覚で物件を決めてしまうと、ターゲット層の生活動線とズレた立地を選びがちです。ランチ需要を狙っているのにオフィス街から外れている、夜の居酒屋を目指しているのに住宅街の奥まった路地——という失敗例は枚挙にいとまがありません。
物件は「自分が好きかどうか」ではなく「ターゲットの行動導線上にあるか」で選びましょう。昼間・夜間・曜日ごとの通行量を自分で計測するくらいの徹底が必要です。
チェックポイント:ターゲット客が自然に通る動線の物件か?
ミス⑤:メニューを増やしすぎる
「全部好きだから全部出したい」という気持ちはわかります。しかしメニューが多いと食材ロスが増え、仕込みに時間がかかり、スタッフへの教育コストも上がります。
成功している飲食店の多くは、開業時のメニューを絞り込んでいます。ランチ3〜5品・ドリンク10品前後からスタートし、売れ行きを見て少しずつ拡充する方が、原価管理・オペレーション・ブランドイメージすべてにおいて有利です。
チェックポイント:ウリになる看板メニューが1〜2品に絞られているか?
ミス⑥:SNS・集客を「開業してから考える」
「まず開業して、そこから集客しよう」と考える人は少なくありませんが、これは大きな機会損失です。Instagramのフォロワーはゼロから集めるのに時間がかかります。開業当日に発信を始めても、初月の集客にほとんど貢献しません。
開業の3ヶ月前から内装の様子・仕込みの裏側・コンセプトへの想いを発信し始めることで、開業初日から「ファン」が来てくれる状態をつくれます。これは予算ゼロでできる最も効果的な集客準備です。
チェックポイント:開業3ヶ月前からSNS発信を始める計画があるか?
ミス⑦:一人で抱え込み、専門家に相談しない
「自分で調べれば何とかなる」「相談したら素人だと思われる」という思い込みで、税理士・行政書士・業界メンターへの相談を避けてしまう人がいます。しかし許認可の手続きミス、補助金の申請漏れ、事業計画書の甘さは、後から取り返しがつかない問題になることがあります。
プロへの相談費用を「コスト」と見るか「保険」と見るかで、開業後の結果は大きく変わります。事業計画の壁打ち・数字の検証・勝ち筋の言語化——これらを専門家と一緒に行うことで、無駄な出費と廃業リスクを同時に減らせます。
チェックポイント:事業計画を客観的に見てくれる人間が一人でもいるか?
失敗が怖いなら「小さく試す」という選択肢
7つのミスを見て「じゃあ開業なんて無理だ」と感じた方に、ぜひ知っておいてほしい選択肢があります。それが間借り・テスト出店です。
自分でお店を構える前に、既存の飲食店のキッチンや客席を借りて営業するスタイルです。初期費用は通常の開業の10分の1以下になることもあり、メニュー・価格設定・ターゲット層を実際の営業で検証してから本格開業に踏み切れます。
びあらばが運営するCOROCORO(コロコロ)では、大阪のシェアレストランで間借り出店が可能です。「本格開業前のリハーサル」として活用する料理人・飲食人が増えています。固定費を最小限に抑えながら、実際の客と向き合って数字を積み上げてから判断する——これが最もリスクの低い開業への道です。
まとめ|失敗パターンを知ることが成功への第一歩
飲食店開業で失敗する人の7つの共通ミスを振り返ります。
- ① 損益分岐点を計算せずに物件を決める
- ② 競合・エリア調査を怠る
- ③ 初期費用に運転資金を含めない
- ④ 物件の「居心地」で決める
- ⑤ メニューを増やしすぎる
- ⑥ SNS・集客を開業後に回す
- ⑦ 一人で抱え込み、専門家に相談しない
これらは才能や運の問題ではなく、すべて事前の準備と判断軸の問題です。知っていれば防げる落とし穴ばかりです。
びあらばでは、開業を検討している方の事業計画「壁打ち」を無料でお受けしています。「数字の見方がわからない」「本当にこの計画で大丈夫か確かめたい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。勢いを確信に変えるのが、私たちのミッションです。


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