「月の売上は100万円あるのに、手元にほとんど残らない」——こんな悩みを持つ飲食店オーナーは珍しくありません。原因の多くは「FL比率(原価率+人件費率)」のコントロールができていないことにあります。
2026年時点で、食材の仕入れ価格は上昇が続いており、原価率30%という従来の目安は実態に合わなくなっています。本記事では、現状の数字を正確に把握し、今月からできる利益改善策を具体的に解説します。
この記事でわかること
- FL比率(原価率+人件費率)の適正値と2026年の現実
- 原価率が高い店・人件費率が高い店それぞれの改善策
- 利益を出すための「数字の見方」と優先順位
飲食店の利益構造——まず「FL比率」を理解する
飲食店の経営で最初に押さえるべき指標がFL比率です。FはFood(食材費)、LはLabor(人件費)の頭文字で、FL比率=原価率+人件費率で計算されます。
| 費用項目 | 理想の比率 | FL比率の目安 |
|---|---|---|
| F:原価(食材費) | 28〜35% | FL比率55〜60%以内が目安 |
| L:人件費 | 25〜30% | |
| 家賃 | 8〜10% | |
| 光熱費 | 5〜8% | |
| その他経費 | 10〜12% | |
| 営業利益 | 10%前後 |
FL比率が60%を超えると、家賃・光熱費・その他を払った後に利益がほとんど残りません。まず自店のFL比率を計算することが改善の出発点です。
自店のFL比率を計算してみる
計算式はシンプルです。
- 原価率=月間食材費 ÷ 月間売上 × 100
- 人件費率=月間人件費(給与+社保等) ÷ 月間売上 × 100
- FL比率=原価率 + 人件費率
例:月売上100万円・食材費32万円・人件費28万円の場合 → FL比率 = 32%+28% = 60%。この状態では家賃や光熱費を引くと利益はほぼゼロです。
原価率が高い店の改善策——食材費を「削る」ではなく「管理する」
2026年現在、食材の仕入れ価格は前年比で多くの品目が上昇しています。「削る」だけの発想では限界があり、ロスを減らし・メニューを見直すアプローチが有効です。
改善策① ABC分析でメニューを整理する
全メニューを「注文数×利益額」でABC分類します。Aランク(高回転・高利益)を強化し、Cランク(低回転・低利益)は廃番または価格改定を検討します。「売れているから続ける」ではなく「利益を出しているかどうか」で判断するのが原則です。
改善策② 食材ロスを数値で把握する
ロス率が高い食材を特定し、発注量・保存方法・使い切りメニューを見直します。日次・週次で仕入れ量と使用量を記録するだけで、ロスが月の食材費の5〜10%削減できるケースがあります。
改善策③ 価格転嫁の判断基準を持つ
原価率が35%を超えたとき、値上げを検討するタイミングです。「客離れが怖い」という感情論ではなく、「現在の価格で利益が出るかどうか」を数字で判断します。適切な説明(品質向上・価値伝達)とセットで行えば、値上げによる客離れは最小限に抑えられます。
人件費率が高い店の改善策——「削る」前に「設計を見直す」
改善策① 曜日・時間帯別の売上と人件費を対比する
「月曜ランチは売上が低いのにスタッフが3人入っている」といった非効率を見つけるには、時間帯×曜日別の売上データとシフトコストを並べて見る必要があります。POSレジのデータがあれば1時間で把握できます。
改善策② 人件費率が上がる本当の原因を特定する
人件費率が高い原因は大きく2つに分類できます。
- 売上が低い(分子は変わらないが分母が小さい)→ 集客・単価改善が先決
- 人件費が多い(シフト過多・早期離職による採用コスト増)→ シフト設計・定着支援が先決
この2つを混同したまま「シフトを削る」だけでは、スタッフの不満が増え離職率が上がり、結果的に採用コストで人件費が更に膨らむ悪循環になります。
改善策③ 省人化と多能工化を同時に進める
モバイルオーダー・セルフレジの導入でホールのオペレーションを効率化しつつ、スタッフの「多能工化」(調理も接客もできる人材育成)を進めることで、少ない人数でも回せる体制を作ります。
FL比率改善の優先順位——何から手をつけるべきか
| FL比率の状態 | 最優先アクション |
|---|---|
| FL比率60〜65% | ABCメニュー分析+ロス管理からすぐ着手 |
| FL比率65〜70% | 価格改定・集客施策・シフト見直しを同時並行 |
| FL比率70%超 | 業態・メニュー構成の抜本見直し。専門家への相談推奨 |
まとめ:利益を出すには「感覚」ではなく「数字の管理」が先決
飲食店で利益が出ない根本原因は、FL比率が把握できていないことにあります。
- まずFL比率を計算する(55〜60%以内が目標)
- 原価率が高い → ABC分析・ロス管理・価格転嫁
- 人件費率が高い → 原因特定(売上低迷 or シフト過多)から改善策を選ぶ
びあらばでは、飲食店の数字の見直しから採用・集客・SNS運用まで、利益改善を総合的にサポートしています。「どこから手をつければいいかわからない」という段階からのご相談を歓迎します。


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