間借りメニューの値段の決め方|大阪のシェフが間借り料込みで利益を残す原価計算

「料理には自信がある。でも、いくらで出せばいいのかわからない」——間借り出店の準備で、多くのシェフが手を止めるのが値段の決め方です。実店舗で働いていたころの感覚で値付けすると、営業後に食材費と場所代を引いてみたら手元にほとんど残らなかった、ということが起こります。間借りは席数も営業日も限られ、場所代の払い方も店ごとに違うからです。この記事では、大阪で間借り出店するシェフ向けに、間借り料まで含めた原価計算と、目標の手取りから客単価を逆算する方法を、実際の料金をもとにした試算で解説します。

この記事でわかること

  • 間借りの値付けが実店舗と違う理由と、間借り料を含めた原価の出し方
  • 日額制と売上歩合制で「どちらが得か」が逆転する売上の境目
  • 目標の手取りから客単価とメニュー構成を逆算する4ステップ
目次

間借りの値付けとは?実店舗の原価率だけでは足りない理由

間借りの値付けとは、食材原価に加えて、間借り料(場所代)と包材・消耗品の費用を1品あたりに割り戻し、営業した日の売上で回収できる価格を決めることです。

実店舗では「原価率30%」がよく目安にされますが、これは家賃や人件費を別枠の固定費として月単位で管理する前提の数字です。間借りでは、その固定費にあたる場所代を営業した日ごとに払います。つまり、1日の売上だけで場所代まで回収できる値段になっていなければ、営業するほど赤字になります。

間借りの値付けが実店舗と違うポイントは次の3つです。

  • 席数と営業時間が限られる:客数の上限が低いため、薄利多売が成り立ちにくい
  • 営業日が少ない:週1〜2日だと食材を使い切れず、ロスが原価を押し上げやすい
  • 場所代の形が店ごとに違う:1日いくらの日額制か、売上の◯%の歩合制かで計算が変わる

日額制と売上歩合制で変わる原価計算|境目は1日の売上5万円

大阪・関西の間借り先の料金は、大きく「日額制」と「売上歩合制」に分かれます。びあらばのシェフ間借りマッチングに掲載中の厨房では、2026年10月時点で日額1日8,000円〜30,000円、直営のCOROCOROは売上の30%(3ヶ月継続は20%)です。

ここでは、日額15,000円の厨房と、売上30%の厨房を比べてみます。食材原価30%、包材・消耗品5%は共通とします(以下はすべて試算のための架空の数字です)。

1日の売上日額制(15,000円)の手元歩合制(売上30%)の手元
2万円−2,000円(赤字)7,000円
3万円4,500円10,500円
5万円17,500円17,500円
7万円30,500円24,500円

計算式はシンプルです。

  • 日額制の手元 = 売上 ×(1 − 食材30% − 包材5%)− 15,000円
  • 歩合制の手元 = 売上 ×(1 − 食材30% − 包材5% − 歩合30%)

この例では1日の売上5万円が損益の境目です。5万円を超えて売れるなら日額制、届かないなら歩合制のほうが手元に多く残ります。また日額制で場所代を回収できる売上(損益分岐点)は、15,000円 ÷ 0.65 ≒ 約23,100円。客単価2,000円なら12人来てやっとトントン、ということになります。

売上が読めない最初の数回は歩合制で始め、売上が安定してきたら日額制の店舗に移る、という順番がリスクを抑えやすい進め方です。

目標の手取りから値段を逆算する4ステップ

値段は「原価×3」ではなく、自分がいくら持ち帰りたいかから逆算すると、営業後にがっかりすることがなくなります。8席のカウンター、売上歩合30%の間借り先を例に計算します。

  1. 1日の目標手取りを決める:例)15,000円(仕込みを含めて約10時間なら時給1,500円)
  2. 必要な売上を出す:手元に残る割合は35%(100% − 食材30% − 包材5% − 歩合30%)。15,000円 ÷ 0.35 ≒ 42,900円
  3. 客数の上限を出す:8席 × 2回転 = 16人。ただし満席前提は危険なので、7割の11人で見る
  4. 客単価を決める:満席なら42,900円 ÷ 16人 ≒ 2,700円、7割なら42,900円 ÷ 11人 ≒ 3,900円

ここで「客単価3,900円はうちの料理では無理だ」と感じたら、値段を無理に上げるのではなく、条件のほうを動かします。目標手取りを下げる、営業時間を延ばして3回転を狙う、テイクアウトやドリンクを加えて1人あたりの単価を上げる、歩合の低い継続プランを選ぶ、などです。

たとえばCOROCOROの3ヶ月継続プラン(売上の20%)なら手元に残る割合は45%になり、必要な売上は15,000円 ÷ 0.45 ≒ 33,300円。7割の11人で割ると客単価は約3,000円まで下がります。同じ料理・同じ値段でも、場所代の形で手取りは大きく変わるということです。

値段を上げても選ばれる、間借りならではのメニュー設計

必要な客単価が見えたら、その値段に納得してもらえるメニューにします。間借りで効くのは次の4つです。

1. 品数を絞って食材ロスを減らす

週1〜2日の営業では、仕入れた食材を次の営業日まで持ち越しにくく、余った分はそのまま原価になります。メニューは5〜7品程度に絞り、同じ食材を複数の料理で使い回せる構成にすると、原価率30%を守りやすくなります。

2. 看板の1品に値段の根拠を集める

全品をまんべんなく作り込むより、「これを食べに来た」と言われる1品を決めて、仕込みの手間と素材の説明をそこに集中させます。看板メニューの価値が伝われば、ほかの品が多少高くても受け入れられやすくなります。

3. セットとコースで客単価を固定する

単品注文だと客単価は読みにくいですが、「看板+前菜+ドリンク」のセットや、おまかせコースにすると1人あたりの売上が安定します。ステップ4で出した客単価を、そのままセット価格の基準にできます。

4. 「今日だけ」の限定性を伝える

間借りの「この日しか食べられない」は、実店舗にはない強みです。SNSで営業日と限定メニューを事前に告知すれば、値段より「行けるうちに行きたい」が先に立ちます。

COROCOROの料金で試算する、初めての間借りの値付け

COROCOROは、びあらばが運営する大阪市内(天神橋筋六丁目)の間借りスペースです。飲食店営業許可を取得済みのキッチンとカウンター8席があり、1日から出店できます。場所代は固定ではなく売上の30%(単発・短期)、3ヶ月継続なら売上の20%です。

この料金体系に当てはめると、初めての間借りの値付けは次のように考えられます(食材原価30%・包材5%で試算)。

プラン手元に残る割合手取り1万円に必要な売上手取り1.5万円に必要な売上
単発・短期(売上30%)35%約28,600円約42,900円
3ヶ月継続(売上20%)45%約22,200円約33,300円

売上歩合なので、お客さまが少ない日でも場所代で赤字にはなりません。まず単発で数回出店して「1日に何人来て、客単価がいくらになるか」の実数をつかみ、その数字をもとに値段とプランを決め直す——という順番なら、値付けの失敗を小さく抑えられます。

なお、営業許可の範囲や提供できるメニューの条件は店舗ごとに異なります。出店前に必ず店舗側に確認してください。

よくある質問

間借りメニューの原価率は何%にすればいいですか?

食材原価だけで考えるなら30%前後がひとつの目安ですが、間借りでは場所代(間借り料)と包材・消耗品も1品ずつに割り戻して考える必要があります。売上歩合30%の間借り先なら、食材原価30%+包材5%+間借り料30%で、売上の約35%が手元に残る計算です。

日額制と売上歩合制、どちらの間借り先が得ですか?

1日の売上がどれだけ見込めるかで決まります。日額15,000円・食材と包材で35%の例では、1日の売上5万円を境に、それより多ければ日額制、少なければ売上30%の歩合制のほうが手元に多く残ります。売上が読めない最初のうちは歩合制のほうがリスクを抑えられます。

間借りで客単価はいくらに設定すべきですか?

「目標の手取り」から逆算します。席数×回転数で1日に入れる客数の上限を出し、必要な売上をその人数で割った額が最低限の客単価です。8席・2回転・歩合30%で1日の手取り15,000円を目指すなら、客単価は約2,700円が必要になります。

大阪の間借りの場所代の相場はいくらですか?

びあらばの「シェフ間借りマッチング」に掲載中の大阪・関西の厨房では、2026年10月時点で1日8,000円〜30,000円の日額制が中心です。直営のCOROCORO(大阪・天神橋筋六丁目)は売上の30%(3ヶ月継続は20%)の成果報酬型です。

まとめ|値段は「手取り」から逆算し、まずは小さく試す

  • 間借りの値付けは、食材原価に加えて間借り料と包材まで1品に割り戻して考える
  • 日額制か歩合制かで手取りは変わる。今回の試算では1日の売上5万円が境目
  • 目標手取り → 必要売上 → 客数の上限 → 客単価の順に逆算する
  • 品数を絞る・看板1品・セット化・限定性で、その値段に納得してもらう

値段の正解は、実際に出店して数字を取るまでわかりません。だからこそ、売上が少ない日でも赤字にならない間借り先で、まず1日試してみることをおすすめします。大阪・関西で募集中の厨房は、料金の形(日額制・歩合制)も含めて下のページで見比べられます。

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この記事を書いた人

株式会社びあらば 代表取締役。
大阪・天六でシェアレストラン「COROCORO」を運営。
飲食店オーナーとしての実体験と、飲食業界向けSaaS・採用支援の営業経験を活かし、
「開業」「拡大」「採用」に悩む飲食事業者の意思決定支援を行っている。

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